過充電と過放電時に発生するガスの違い:リチウムイオン電池の安全管理

「過充電と過放電時に発生するガスの違い」

リチウムイオン電池の異常状態において、過充電と過放電はどちらもガスを発生させますが、そのメカニズムと発生するガスの種類は異なります。安全管理や異常診断の観点から、両者の違いを正確に理解することは重要です。


過充電時に発生するガス

過充電状態では、正極から過剰にリチウムイオンが脱離し、正極活物質の結晶構造が不安定になります。同時に電解液の酸化分解が進み、以下のガスが発生します。

  • CO₂(二酸化炭素)
  • CO(一酸化炭素)
  • 炭化水素系ガス(CH₄、C₂H₄、C₂H₆など)
  • O₂(酸素):正極活物質の構造崩壊により放出される場合がある

特にO₂の発生は危険です。可燃性の電解液溶媒や炭化水素系ガスと共存することで、発火・爆発のリスクが急激に高まります。過充電は熱暴走(Thermal Runaway)につながる可能性が高く、最も危険な異常状態の一つです。


過放電時に発生するガス

過放電状態では、セルの電位が通常の動作範囲を下回ることで、電解液溶媒(EC、DMC、EMCなど)の還元分解が進みます。この分解反応により以下のガスが発生します。

  • CO₂(二酸化炭素)
  • CO(一酸化炭素)
  • 可燃性炭化水素ガス(CH₄、C₂H₄、C₂H₆など)

過充電と同様に可燃性ガスが発生するため、過放電状態のセルの取り扱いにも注意が必要です。ただし過充電時と比べてO₂の発生がなく、熱暴走に至るリスクは相対的に低いとされています。


まとめ表の修正

項目過充電過放電
主な反応正極の構造崩壊・電解液の酸化分解電解液の還元分解
主なガスCO₂、CO、炭化水素、O₂CO₂、CO、可燃性炭化水素
引火性ガスありあり
危険度非常に高い(発火リスクあり)注意が必要(可燃性ガス発生)
セルへの影響熱暴走・発火・爆発容量劣化・内部短絡リスク

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